税理士・会計士のダブルライセンスは行政書士か社労士か|行政書士は試験なしで登録できる

税理士・会計士の隣接資格。行政書士は試験なしで登録でき、社労士は別の建物

※本記事には広告(PR)を含みます。掲載内容は2026年9月5日時点で運営者が各公式サイト・公的資料を確認したものです。料金や内容は変更されることがあります。

「税理士のあとに何か資格を足すなら、何がいいですか」と聞かれることがあります。多くの人は、次の難しい試験を探し始めます。しかし、その前に確認すべきことがあります。税理士・公認会計士は、行政書士試験を受けなくても行政書士になれるという事実です。

これは行政書士法第2条に書かれている話で、裏技ではありません。ところが、会計人の隣接資格の話は「社労士は難しい」「行政書士なら半年で」という試験の難易度比較から始まりがちで、自分が試験を受ける側なのか、登録するだけの側なのかという前提の確認が抜けています。この記事は、その前提から整理します。

この記事の結論

会計人が次に足す資格は、自分の立ち位置で答えが変わります。

①税理士・公認会計士(となる資格を有する人)は行政書士に登録だけで入れるので、必要なのは試験勉強ではなく実務の知識。

②経理スタッフや税理士試験の途中の人は、受験資格の制限がなく直近の合格率が14.54%の行政書士試験が現実的な最初の一歩。

③労務へ軸を移すなら社労士ですが、直近の合格率5.5%と別世界の難度なので、決める前に月額制の講座で中身に触れてから判断すべきです。「何を足すか」は試験の難しさではなく、自分の顧客(または勤め先)が次に何で困るかで決めます。

この記事でわかること
目次

まず自分がどの入口にいるかを確かめる(3ステップ)

STEP
自分の資格で「登録だけで入れる資格」があるかを確認する

日本行政書士会連合会の案内によれば、行政書士となる資格を有するのは、行政書士試験の合格者のほか、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する者、および行政事務に一定期間従事した公務員等です(行政書士法第2条)。税理士・会計士は、試験ではなく登録の手続きに進みます。逆に、経理スタッフや税理士試験の科目合格の段階では試験ルートになります。

STEP
顧客(勤め先)が「次に何で困るか」を1つ特定する

相続税の申告を受けているなら、その前段の遺産分割協議書。会社設立の税務顧問を受けているなら、その会社の建設業許可や補助金。給与計算や年末調整を担っているなら、労働保険・社会保険の手続き。自分が今扱っている仕事の「一つ手前」か「一つ先」で困っていることが、足すべき資格を教えてくれます。

STEP
学び方の型を選ぶ:試験対策か、実務講座か、まず触るか

試験を受ける人は試験対策講座、登録だけで入れる人は実務講座、社労士のように難度が高くまだ迷っている人は月額制でまず触る。同じ「行政書士講座」でも、試験対策と実務講座は別物なので、入口を間違えるとお金と時間の両方を失います。後半で目的別に整理します。

行政書士は、会計人にとって「隣の部屋」

行政書士の業務は、日本行政書士会連合会の説明では大きく三つです。官公署に提出する書類の作成(その多くが許認可に関するもので、1万種類を超えるとも言われる)、権利義務に関する書類(遺産分割協議書、各種契約書)、事実証明に関する書類(各種議事録、会計帳簿、貸借対照表・損益計算書などの財務諸表を含む)。

三つ目を見て気づく人もいるでしょう。財務諸表の作成は、行政書士の業務としても位置づけられています。会計人がふだん扱っている書類のすぐ隣に、行政書士の仕事は置かれているのです。

会計人の今の仕事行政書士として隣にある仕事接続のしかた
相続税申告遺産分割協議書の作成税額計算の前に分け方を文書にする工程を、同じ事務所で受けられる
法人の税務顧問・会社設立支援許認可申請(建設業・飲食・古物など)、定款・議事録設立のあとに必ず来る「許可」を外注せずに済む
記帳・決算事実証明書類としての会計帳簿・財務諸表、補助金の申請書類数字を作る側から、数字を使って申請する側へ広がる
会計人の業務と行政書士業務の接点(筆者作成)。行政書士業務の範囲は日本行政書士会連合会「行政書士の業務」の記載にもとづく。
会計人の目線での補足

税理士・会計士が行政書士を足す最大の意味は、「うちではできないので他所へ」と言う場面を一つ減らせることです。相続では遺産分割協議書、法人では許認可。どちらも顧客から見れば「同じ相談」なのに、資格の壁で窓口が分かれてきました。

一方で注意点もあります。

登録には都道府県の行政書士会への入会が必要で、登録手数料や会費は各会で異なります(連合会の案内では、詳細は各都道府県会への問い合わせを推奨)。年間の会費に見合う件数の仕事があるかは、登録前に自分の顧客リストで数えておくべきです。

税理士・会計士でない人が行政書士を目指す場合:試験のデータ

経理スタッフや、税理士試験の途中で「先に一つ国家資格を持っておきたい」という人は、行政書士試験を受けることになります。

試験を実施する一般財団法人行政書士試験研究センターの公表によれば、年齢・学歴・国籍等に関係なく誰でも受験でき、受験手数料は10,400円、令和8年度の試験日は11月8日(日)午後1時〜4時です。

年度受験者数合格者数合格率
令和7年度50,163人7,292人14.54%
令和6年度47,785人6,165人12.90%
令和5年度46,991人6,571人約14.0%(筆者計算)
行政書士試験の結果。一般財団法人行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験 結果概要」および「試験結果の分析」より。令和7年度の受験申込者数は63,845人。
会計人の目線での補足

合格率14%台は、税理士試験の各科目や公認会計士試験と比べれば「届く距離」に見えます。ただ、科目が民法・行政法中心で、会計の知識がほぼ流用できないのが実際のところです。

簿記論・財務諸表論の勉強と並行するのは現実的ではなく、税理士試験の合間の1年を使って先に取るか、税理士試験をやめて行政書士へ切り替えるかのどちらかで考えるほうが、時間の使い方として筋が通ります。

社労士は「隣の部屋」ではなく「別の建物」

会計事務所は給与計算や年末調整を通じて労務に触れるため、社会保険労務士を次の資格として考える人は多いはずです。

ただし試験のデータを見ると、行政書士とは事情がまったく違います。

項目社会保険労務士試験(第57回・令和7年度)行政書士試験(令和7年度)
受験申込者数53,618人63,845人
受験者数43,421人50,163人
合格者数2,376人7,292人
合格率5.5%(前年6.9%)14.54%(前年12.90%)
受験資格学歴(大学・短大等の卒業ほか)、実務経験、または所定の国家試験合格(行政書士試験合格を含む)のいずれかが必要制限なし
厚生労働省「第57回社会保険労務士試験の合格者発表」および行政書士試験研究センターの公表資料より。社労士の受験資格の区分は試験センターの案内にもとづく要約で、詳細は公式の受験案内で確認が必要。
会計人の目線での補足

合格率5.5%は、合格者の数で見ても行政書士の3分の1です。会計人が社労士を検討するなら、「労務を主戦場に移す」という決断とセットで考えるべきで、「ついでに取る」資格ではありません。

一方、大学卒業なら学歴で受験資格を満たしますし、行政書士試験に合格していれば、それ自体が受験資格になります。行政書士 → 社労士という順番は、制度上も学習上も無理のない並びです。

いきなり数十万円の講座に申し込む前に、月額制で科目の中身に触れ、自分が労働法・年金の条文を読み続けられるかを確かめるのが、時間もお金も守る方法です。

目的別に選ぶ3つの講座

ここまでの整理に沿って、①試験を受ける人 ②登録だけで入れる人 ③まず触ってみる人の三つの目的に対応する講座を挙げます。いずれも公式サイトの表示にもとづき、会計人の目線での補足を添えました。

資格スクエア(株式会社資格スクエア):試験対策と「実務講座」の両方がある

資格スクエアは2013年にサービスを始めたオンライン予備校で、公式サイトによれば2026年1月に株式会社学研ホールディングスのグループに参画しています。

行政書士については、試験対策講座と、試験の合否に関係なく受けられる行政書士実務講座の両方を持っている点が、この記事の文脈では重要です。

講座対象料金(公式サイト表示・税込)主な特徴(公式サイトより)
森Tの短期集中合格講座(約4ヵ月)試験を受ける人69,300円ワンクリック質問機能、みんなの質問機能、AI「記述式」添削
森Tの速習合格講座(約半年)試験を受ける人テキストあり119,900円/なし108,900円同上
森Tの1年合格講座試験を受ける人(初学者)テキストあり169,400円/なし159,500円同上
行政書士実務講座試験の合否を問わない(登録だけで入る税理士・会計士も対象になる)単品13,200円〜、全部まとめてパック153,600円建設業許可、相続、補助金、入管、自動車登録など24種類の実務講義。(一社)行政書士の学校が協力
資格スクエア公式サイト「行政書士講座」「行政書士実務講座」の表示より。2026年9月5日に運営者が確認。中上級・上級コースは省略。
会計人の目線での補足

税理士・会計士にとって価値があるのは、試験対策ではなく実務講座のほうです。登録だけで行政書士になれても、建設業許可の要件や遺産分割協議書の実務は、税務の知識からは出てきません。

公式サイトでは実務講座は「試験の合格状況等に関係なく、どなたでもご利用いただけます」と明記されており、単品13,200円から必要な業務だけ選べます。

自分の顧客に多い業種の許認可を1本だけ取る、という使い方が会計人には合っています。試験を受ける側の人には、記述式のAI添削がある短期集中コースが、会計試験と並行しやすい設計です。

資格スクエアで行政書士の試験対策・実務講座を見る

公式サイトで講座ごとの料金と無料講義体験を確認できます(2026年9月5日時点の公式表示)

行政書士TEPPAN通信講座(株式会社オンラインスクール):書籍付きの一括型

オンスク.JPを運営する株式会社オンラインスクールが提供する、行政書士試験に特化した一括払いの通信講座です。

公式サイトによれば、TAC出版の「スッキリわかる 行政書士」「スッキリとける行政書士 頻出過去問演習」(いずれも2026年度版)を教材に組み込み、講義動画約53時間、練習問題422問、過去問題7回分で構成されています。

コース料金(公式サイト表示・税込)内容
テキスト+過去問集付き(書籍2冊)60,500円講義動画約53時間、練習問題422問、過去問7回分、レジュメPDF、学習管理機能
テキスト付き(書籍1冊)58,300円同上(過去問集なし)
書籍なし55,000円同上(書籍なし。手持ちの教材で学ぶ人向け)
行政書士TEPPAN通信講座 公式サイトの表示より。2026年試験対応、受講可能期間は購入手続き完了から2026年11月30日まで。無料体験(講義動画5本・練習問題15問・過去問5問)あり。2026年9月5日に運営者が確認。
会計人の目線での補足

この講座は「試験を受ける人」専用で、登録だけで入れる税理士・会計士には向きません。向いているのは、経理スタッフや税理士試験の途中で、今年の11月の試験を一度で決めたい人です。市販の定番書籍を軸にしているので、講義を聴きながら書籍で復習するという、税理士試験の受験生が慣れている学習の型がそのまま使えます。

受講期限が2026年11月30日と試験日直後に切られている点は、「今年受ける」と決めた人にだけ合う設計だと理解して選んでください。翌年に持ち越す可能性がある人は、月額制のオンスク.JPのほうが無駄が出ません。

行政書士TEPPAN通信講座の教材と無料体験を見る

公式サイトで3つのコースの内訳と無料体験の内容を確認できます(2026年9月5日時点の公式表示)

オンスク.JP(株式会社オンラインスクール):決める前に触る

同じ会社が運営する月額制のサービスで、前の記事(連単倍率と学び直し)でも取り上げました。行政書士と社労士の両方の講座があり、有料プランに入っていればどの講座を受けても追加料金はかかりません

講座講義練習問題料金(公式サイト表示)
行政書士講座全232回(約32.5時間)全593問ライトプラン月額980円(税込1,078円)/スタンダードプラン月額1,480円(税込1,628円)。一括は6ヵ月8,610円(税込9,471円)〜12ヵ月16,870円(税込18,557円)
社会保険労務士講座全107回(約15時間)全408問同上(プラン共通)
オンスク.JP 公式サイトの各講座ページより。社労士講座は2026年4月21日に開講・改訂と表示。2026年9月5日に運営者が確認。
会計人の目線での補足

社労士を検討している会計人に、最初に勧めたいのがこの使い方です。月額1,628円で労働基準法・年金の講義を2〜3週間聴いてみて、続けられそうかを確かめる。合格率5.5%の試験に数十万円を投じる前の、安い保険です。

行政書士も同様で、TEPPANや資格スクエアに決める前に、民法・行政法の講義を無料体験や月額で聴いて「自分に読める科目か」を確認できます。試験対策の本命としては講義時間が足りないので、方向を決めたら一括型の講座に乗り換える前提で使うのが正しい位置づけです。

オンスク.JPで行政書士・社労士の講義を試す

公式サイトで開講中の講座一覧と無料体験の範囲を確認できます(2026年9月5日時点の公式表示)

3つの講座の位置づけ

あなたの状況選ぶ講座理由
税理士・会計士で、登録だけで行政書士になれる資格スクエア 行政書士実務講座試験対策は不要。顧客に多い業務の実務講義を単品で取れる
経理スタッフ・税理士試験の途中で、今年の行政書士試験を受ける行政書士TEPPAN通信講座(または資格スクエア短期集中)書籍+動画の一括型で11月までを走り切る設計
社労士に興味はあるが、続けられるか分からないオンスク.JP(月額制)安い費用で科目の中身に触れ、本命講座に投じる前に判断できる
目的別の使い分け(筆者作成)。

よくある質問

税理士が行政書士になるのに、本当に試験は要りませんか

日本行政書士会連合会の「行政書士になるには」に、行政書士となる資格を有する者として「税理士となる資格を有する者」「公認会計士となる資格を有する者」が挙げられています(行政書士法第2条)。試験の代わりに、事務所を置く予定の都道府県行政書士会を通じて、行政書士名簿への登録と入会の手続きを行います。必要書類や費用は各会で異なるため、登録前に該当する行政書士会で確認してください。

公認会計士でも同じですか

同じです。行政書士法第2条は「公認会計士となる資格を有する者」を挙げています。監査法人勤務の会計士が独立を考える場合、税理士登録と行政書士登録を並べて検討できる立場にあります。独立開業の最初の3手で扱った「事務所をどこに置くか」は、行政書士会の入会先(都道府県)とも連動するので、一緒に決めるのが効率的です。

行政書士と社労士、会計人にはどちらが稼げますか

公的に比較できる収入データはありません。答えは資格の側ではなく、自分の顧客が次に何で困っているかの側にあります。相続と法人設立の顧客が多いなら行政書士、給与計算や年末調整の受託が多く労務相談が増えているなら社労士。試験の難しさで選ぶと、取ったあとに使う場面がない資格になります。

経理スタッフが行政書士を取る意味はありますか

会社の中で使う場面は限られます。意味があるのは、将来、会計事務所や独立を視野に入れている場合です。行政書士は受験資格に制限がなく、合格率も14%台なので、税理士試験より先に「一つ目の国家資格」として持てます。社労士を目指す場合の受験資格にもなります。ただし科目は法律中心で会計の知識は流用しにくいので、簿記・税理士試験の科目と同時進行するのは避けたほうが現実的です。

まとめ:足す資格は、試験の難しさではなく顧客の困りごとで決める

  • 税理士・公認会計士は行政書士試験が不要(行政書士法第2条)。登録の手続きと、実務の知識だけが必要
  • 経理スタッフ・税理士試験の途中の人は、受験資格の制限がなく合格率14.54%(令和7年度)の行政書士試験が最初の一歩になる
  • 社労士は合格率5.5%(第57回)。労務を主戦場にする決断とセットで、まず月額制で中身に触れてから決める
  • 講座は目的で選ぶ:登録だけの人は実務講座、試験を受ける人は一括型、迷っている人は月額制
  • 「何を足すか」は自分の顧客が次に何で困るかから逆算する。英語学び直しと同じ判断の軸

出典と確認日

本記事の事実関係は、2026年9月5日に運営者が以下で確認しました。
日本行政書士会連合会「行政書士になるには」(gyosei.or.jp/info/registration/become)、同「行政書士の業務」(gyosei.or.jp/info/service)/一般財団法人行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験 結果概要」(gyosei-shiken.or.jp/pdf/summary.pdf)、同「試験結果の分析」(gyosei-shiken.or.jp/doc/exam/result/analytics.html)、同トップページ(受験資格・受験手数料・令和8年度試験日)/厚生労働省「第57回社会保険労務士試験の合格者発表」(mhlw.go.jp/stf/newpage_63952.html)/資格スクエア公式サイト 行政書士講座(shikaku-square.com/gyoseisyoshi)、行政書士実務講座(shikaku-square.com/gyoseisyoshischool/)、会社情報(shikaku-square.com/corp)/行政書士TEPPAN通信講座 公式サイト(onsuku.jp/dlc/gyousei)/オンスク.JP 行政書士講座(onsuku.jp/training/gyousei)、社会保険労務士講座(onsuku.jp/training/syaroushi)。
各社サービスへの直接リンクは、記事内の導線を1本ずつに集約するため置いていません。料金・内容・試験制度は変更されることがあります。行政書士登録の要件と費用は、必ず該当する都道府県行政書士会でご確認ください。

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