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「経理に英語は必要ですか」と聞くと、たいてい「あったほうがいい」と返ってきます。間違いではありませんが、その答えでは何も決まりません。英語の学習には数百時間かかります。やるなら、その時間を簿記1級や税務、システムに使う選択肢と比べたうえで決めるべきです。
経理に英語が要るかどうかは「グローバル企業に勤めているか」ではなく、①連結の外側が大きいか ②その外側が海外にあるか ③自分がそこに触れる担当か——この3つが揃うかで決まります。上場2,573社の有価証券報告書データで①を測り、①だけでは分からない②の確かめ方まで示します。
結論:英語が要るのは、この3条件が揃う人だけ
- 条件①:連結の外側が大きい(連単倍率=連結従業員数÷提出会社の従業員数が3倍以上が目安)
- 条件②:その外側が海外にある(有報のセグメント情報に海外売上高・海外の有形固定資産があるか)
- 条件③:自分がその外側に触れる担当(連結決算・税務・開示・監査対応のいずれかに関わる)
この3つが揃ってはじめて、英語は「あったほうがいい」ではなく実務の必要条件になります。逆に1つでも欠けるなら、同じ時間を別のスキルに使ったほうが回収は早くなります。
順に見ていきます。まず前提として、経理の仕事のどこに英語が出てくるのかを整理します。
経理の仕事で英語が出てくるのは、この5場面
| 場面 | 具体的にやること | 必要なのは |
|---|---|---|
| 連結決算 | 在外子会社から連結パッケージを回収し、差異の原因を照会する | 読む・書く |
| 監査対応 | 海外子会社の監査人とのやりとり、グループ監査指示書の読み込み | 読む・書く(協議時は話す) |
| 税務 | 移転価格文書、外国税額控除の資料、租税条約の適用判定 | 読む |
| 開示 | 英文の決算短信・アニュアルレポート、海外投資家向け資料のチェック | 読む・書く |
| 債権債務・資金 | 海外取引の契約書、インボイス、送金指示 | 読む |
並べて分かるのは、ほとんどが「読む」と「書く」だということです。話す必要が出るのは、連結の締め時期に在外子会社と会議で詰めるときと、監査人と協議するとき。頻度としては後から来ます。この順序は、後半の学習設計にそのまま効いてきます。
逆に言えば、これらに触れない経理の仕事では、英語を使う場面は実務上ほぼ発生しません。単体決算、税務申告、給与計算、債権管理、原価計算——国内で完結する業務が、経理の仕事の大部分を占めます。
条件①:連結の「外側」はどれだけ大きいか
有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(単体)の従業員数と連結の従業員数が両方載っています。この比(連結÷単体)を、当サイトでは連単倍率と呼んでいます。
倍率が2倍なら、自分の会社の外側に同じ人数がもう一つある。10倍なら外側は自社の9倍。連結決算で相手にする範囲の大きさが、この1つの数字で分かります。
1.5倍未満と1.5〜3倍で全体の66%。上場企業に勤めていても、3社に2社は「連結の外側」がさほど大きくない会社ということになります。この層で英語を最優先にする理由は、通常ありません。
目安として、3倍以上(全体の33%)なら条件①はクリアと考えてください。ただしこれだけでは判断できません。次が本題です。
条件②:その外側は「海外」にあるか ── ここが分かれ目
連単倍率が測っているのは「外側の大きさ」であって、「外側の場所」ではありません。国内子会社が50社あっても、海外子会社が5社あっても、従業員数が同じなら倍率は同じ値になります。
業種別に連単倍率の中央値を見ると、その意味がはっきりします。
注目してほしいのは、陸運業3.63倍と精密機器3.10倍が、ほぼ同じ水準に並んでいることです。倍率だけを見れば「どちらも連結が重い会社が多い業種」ですが、外側の中身は大きく違います。
| 陸運業(3.63倍) | 精密機器(3.10倍) | |
| 外側にあるもの(一般的な傾向) | 国内の運送・物流子会社、地域会社 | 海外の製造拠点、販売子会社 |
| 連結決算で使う言語 | 日本語が中心 | 英語が必要になる場面がある |
| 有報で確かめる場所 | セグメント情報の地域ごとの情報 | 同左 |
つまり、倍率の大小だけで英語の要否は決められません。業種で当たりをつけたら、次は自分の会社の中身を見に行く必要があります。幸い、それは有価証券報告書で確かめられます。
10分でできる:自分の会社を3ステップで確かめる
勤務先、または転職を検討している会社の有価証券報告書をEDINETで開いて、次の順に見ます。
「第一部 企業情報 → 第1 企業の概況 → 5 従業員の状況」に、連結の従業員数と提出会社の従業員数が並んでいます。連結÷提出会社を計算し、上のグラフのどこに入るかを確認してください。1.5倍を下回るなら、この時点で英語の優先度は下がります。
「経理の状況 → 財務諸表等 → 注記事項(セグメント情報等)」の中に、「関連情報」として地域ごとの情報があり、売上高と有形固定資産が国内・海外の別に開示されています。ここで海外の数字が相応にあるかを見ます。実質ゼロなら、外側が大きくても国内グループです。
あわせて有報冒頭の「関係会社の状況」を見ると、子会社の名称と所在地が並んでいます。外側がどの国にあるかまで、眺めるだけで分かります。
会社として海外があっても、連結・税務・開示・監査対応に関わらない担当なら、英語を使う場面は来ません。逆に、いま単体決算しか担当していなくても、連結や海外子会社管理へ移りたいのであれば、英語は前提条件として効いてきます。ここだけは会社のデータではなく、自分のキャリアの方向で決まります。
ここまでで「自分は英語が要る側だ」と分かったなら、次に決めるのは何から手をつけるかです。経理の英語には正しい順番があり、そこを外すと続きません。まずは7日間の無料体験で「繁忙期の自分でも続くか」を確かめるところから始めるのが現実的です。
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英語をやると決めたら:経理は「読む・書く」から入る
前半の表で見たとおり、経理の英語は読む・書くが先、話すは後です。連結パッケージの照会文を書く、監査指示書を読む、移転価格文書に目を通す——ここで要るのは日常英会話ではなく、ビジネス文書の型と、会計・財務の語彙です。
いきなり英会話から始めてしまうことです。業務で最初に必要になるものと順番が合わないため、続いても実務に返ってきません。まず読み書きの土台を作り、話す予定が現実に入った段階で会話を足す——遠回りに見えて、これがいちばん早い進め方です。
① 読み書きの土台から ── ビジネス英語コース
繁忙期でも続けやすいのは、短時間で区切れる自学自習型です。スタディサプリENGLISHのビジネス英語コースは、公式サイトの記載では次のとおりです。
| 月額 | 3,278円(税込) |
|---|---|
| まとめ払い | 6ヶ月 18,348円(月あたり3,058円)/12ヶ月 32,736円(月あたり2,728円)。入会金なし |
| 無料体験 | 7日間 |
| 内容 | 全レベル対応のドラマ式レッスン、ディクテーション・シャドーイング等のトレーニング機能。最短3分から |
| 公表実績 | 継続率93%(2020年1月〜12月のビジネス英語コースユーザーの次月課金継続) |
| 運営 | 株式会社リクルート |
会計人の目線で補足すると、この段階で確かめるべきは「続くかどうか」だけです。月3,278円は簿記の講座1つ、専門書2〜3冊と同じ水準で、費用対効果を細かく計算する金額ではありません。
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② すでに話す予定があるなら ── 英会話セットプラン
在外子会社との会議や監査人との協議がすでに予定に入っているなら、インプットだけでは間に合いません。同じコースに、オンライン英会話をセットにしたプランがあります。
| 月額 | 7,128円(税込) |
|---|---|
| まとめ払い | 6ヶ月 39,468円(月あたり6,578円)。入会金なし |
| 内容 | ベーシックプランの全機能+オンライン英会話(今すぐレッスン5〜25分が回数無制限、予約レッスン25分が月4回)+専用の英会話教材 |
| 無料体験 | 7日間。全レッスン・全機能に加え、予約レッスン1回分と回数無制限の今すぐレッスンを含む |
| 注意点 | ネイティブキャンプと連携。ただし専用講師・専用教材での受講に限られ、ネイティブキャンプのオリジナル教材は利用不可。新規のネイティブキャンプアカウント作成が必要 |
| 運営 | 株式会社リクルート |
7日間の無料体験に予約レッスン1回分と回数無制限の今すぐレッスンを含みます(公式サイトの記載・2026年9月3日確認)![]()
どちらを選ぶか:差額は月3,850円
| ビジネス英語コース | 英会話セットプラン | |
| 月額 | 3,278円 | 7,128円 |
| 読む・書くの練習 | あり | あり |
| 話す練習 | なし | あり(今すぐレッスン無制限+予約月4回) |
| 向いている人 | これから連結・海外案件に関わる可能性がある人/まず土台を作りたい人 | 在外子会社との会議や監査人との協議がすでに予定に入っている人 |
| 無料体験 | 7日間 | 7日間 |
話す予定がない人が差額を払う意味は薄く、話す予定がある人がアプリ単体で止める意味も薄い。予定が読めないなら、まず単体で始めて、会議が入った時点で切り替えるのが無駄がありません。
よくある質問
- TOEICのスコアは経理の転職で評価されますか
-
求人票に要件として書かれていれば必要です。ただし実務では、スコアそのものより「連結や海外子会社管理の経験があるか」のほうが重く見られます。英語だけを先に仕上げるより、連結業務に触れられる環境に移り、そこで使いながら伸ばすほうがキャリアとして噛み合います。
- 会計士・税理士にとってはどうですか
-
監査法人でグローバル案件を担当する、FASでクロスボーダー案件に関わる、税理士として移転価格や外国税額控除を扱う——この方向に進むなら英語は前提条件です。一方、国内の中小企業を顧問先とする税理士業務では実務上ほぼ登場しません。ここでも「自分が触れる範囲に海外があるか」という同じ問いに戻ります。
- 連単倍率が高い会社に転職すれば英語力は伸びますか
-
外側が海外であれば、使う機会は確実に増えます。ただし本文のとおり倍率が高くても国内グループのことがあるため、応募前にセグメント情報の地域別内訳を必ず確認してください。求人票に「グローバル企業」と書かれていても、有報の数字は嘘をつきません。
- 英語より先にやるべきことはありますか
-
3条件が揃わない人にとっては、たいていそうです。連結会計・税効果・税務・システムのどれかを深めるほうが、担当できる仕事が増えるまでの距離は短くなります。学ぶ順番を勤務先のタイプから逆算する方法は、経理が次に学ぶものは、勤め先の「連単倍率」で決まるで扱っています。
まとめ
- 経理に英語が要るかは①外側の大きさ ②外側が海外か ③自分が触れる担当かの3条件で決まる
- ①は連単倍率で測れる。上場2,573社のうち66%は3倍未満で、英語を最優先にする層ではない
- ①だけでは②は分からない。陸運業3.63倍と精密機器3.10倍は同水準でも中身が違う
- ②は有報のセグメント情報(地域ごとの情報)と「関係会社の状況」で10分で確かめられる
- 3条件が揃うなら、経理の英語は読む・書くが先、話すは後。この順で学習を設計する
勤務先の実データは年収・人的資本ダッシュボード(上場3,824社・無料)で確認できます。ほかの学び方は学び・資格キャリアもあわせてどうぞ。
出典と確認日
連単倍率および業種別の集計は、運営者が有価証券報告書(EDINET)の「従業員の状況」から取得した提出会社・連結の従業員数にもとづき、2026年9月3日時点の最新データで独自に算出したものです。対象は提出会社の従業員が50名以上の上場2,573社、業種別は該当15社以上の業種に限り、中央値で比較しています(平均値ではありません)。業種ごとの「外側の中身」に関する記述は筆者の整理であり、実際の内訳は会社ごとに異なります。スタディサプリENGLISHの料金・内容は、2026年9月3日に運営者が公式サイト(eigosapuri.jp のビジネス英語コースおよび英会話セットプランのページ)で確認しました。各サービスへの直接リンクは、記事内の導線を1本に集約するため置いていません。料金・内容は変更されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の学習方法やキャリアについての助言ではありません。

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